Research Press Release

高いところから気候を遠隔操作

Nature Geoscience

2012年9月24日

大気上端の広がりは海洋循環に影響を及ぼすと、Nature Geoscience(オンライン版)に発表された研究が報告している。この発見は、上層大気(気候モデルではしばしば無視されている)が、数十年の時間スケールでは気候に影響を及ぼしうることを示している。

Thomas Reichlerたちは成層圏(高度10-50 kmの間に広がる大気の層)内の風が北大西洋の循環に与える影響を、気象モデルと過去30年間に

わたって収集された海洋データを用いて検証した。彼らは、成層圏と大西洋の循環がこの時間にわたって共変動したことを示した。

気候モデルのシミュレーションは、観測されたような成層圏の循環パターンは大西洋の表面に摂動を与え、数十年の時間スケールで海洋循環パターンの変化の引き金となることを示している。したがって、この発見は成層圏由来の徴候が大気-海洋系全体を貫通しうることを示しており、気候変動研究では無視すべきではないことを示唆している。

doi:10.1038/ngeo1586

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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