Research Press Release

【応用物理】新しい電子ペーパー技術の開発で電子書籍に明るい未来

Nature Communications

2012年10月31日

雑誌の印刷品質と同等の反射率とビデオ映像並みの書き換え速度の電子ペーパーを実現するマイクロフルイディック薄膜について報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。電子ペーパーが、携帯用電子機器のディスプレイ部分に用いる技術として競争力を持つためには、高い反射率を達成することが重要とされている。

今回、J Heikenfeldたちは、白い多孔質膜の中をカラーインクが移動し、前面に表示され、あるいは、背後に隠れるという方式による電子ペーパーを作製する方法を新たに開発した。この方法によって得られるピクセルの反射領域は90%を超えており、その結果、雑誌の印刷品質(76%超)を超える白色反射率が達成された。この多孔質膜は、制御電極と整列させなくても組み立てられるように設計されており、作製工程が大きく簡素化された。今回の研究で、1インチ当たり150ピクセルのデバイスで、15ミリ秒の切り換え時間が達成され、ビデオ映像並みの速度が得られた。

Heikenfeldたちは、この概念実証デバイスが、電気泳動や液晶の技術を用いた既存の商用ディスプレイに対して競争力のある性能を発揮する点も指摘している。

doi:10.1038/ncomms2175

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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