Research Press Release

気候変動がもたらすジャイアントパンダの餌不足

Nature Climate Change

2012年11月12日

中国の人里離れた地域では、気候が原因となって、森林の下層に生育するササの分布に変化が生じたため、ジャイアントパンダの餌不足が起こっているという見解が示した論文が、今週、Nature Climate Change(オンライン版)に掲載される。この地域は、ジャイアントパンダの生息可能地の約4分の1に相当する。今回の研究で得られた知見は、この地域の気候条件の変化が、ジャイアントパンダの保全にとって重大な脅威となる可能性を示している。

林冠の下に生えている下層植物は、森林生態系で重要な役割を果たしているが、気候影響研究では考慮されないことが多い。今回、J Liuたちは、秦嶺山脈(中国)のササ類の優占種3種に対する気候変動の影響を評価した。この地域のパンダ個体群の食餌のほとんどが、この3種のササ類である。

今回の結果は、ジャイアントパンダにとっての今後の問題点を警告するだけでなく、気候変動の影響評価に生物種どうしの相互作用を組み入れることが一般的に重要なことも明確に示している。

doi:10.1038/nclimate1727

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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