Research Press Release
生物工学:歩く生物型「マイクロマシン」
Scientific Reports
2012年11月15日
ヒドロゲルとラットの心臓細胞によって、歩く生物機械が作製された。この「バイオボット」には、2本の脚があり、そのうちの1本で、機械が前方に動き、もう1本は安定装置として作用する。今回の研究成果を報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。複雑な生物機械には、薬物試験に用いる模擬臓器のほかにも健康、セキュリティー、環境関連用途も考えられている。
適切な材料とさまざまなタイプの細胞を組み合わせることで、興味深い機能を有する複雑な生体材料を作り出すことができる。今回、R Bashirたちは、3Dプリンターを用いて、生物機械を作り出した。3Dプリンターは、立体構造体の設計と作製を柔軟に行うことができるようになっている。このバイオボットは、心筋細胞が敷き詰められたカンチレバー構造を有し、この心筋細胞が収縮することで、バイオボットが自己伝播する。このバイオボットが前方へ跳躍できるもう一つの理由は、2本の脚の摩擦にちがいがあるからで、自己伝播する脚の方が、安定装置の脚よりも摩擦が大きく、その結果、前方に進む。このバイオボットの長さは、1cmにわずかに足りない程度で、流体中での移動速度は、毎秒約236マイクロメーターとなっている。
doi:10.1038/srep00857
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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