炎症を標的にする治療でアルツハイマー病が改善
Nature Medicine
2012年11月26日
特異的な炎症誘発性細胞情報伝達タンパク質(IL-12/23p40とよばれる)を標的とする抗体は、乾癬の治療に利用されているが、この抗体がアルツハイマー病(AD)のマウスモデルにも薬効を示すことが明らかになった。
炎症の悪化は、アルツハイマー病の原因であり、結果でもあると考えられている。炎症誘発性細胞情報伝達タンパク質(すなわちサイトカイン)であるインターロイキン-12(IL-12)とIl-23(どちらもIL-12/23p40というサブユニットをもつ)は自己免疫疾患を引き起こすが、ADの発症にかかわっているかどうかは明らかになっていない。
Frank L Heppner、Burkhard Becherたちは、脳のニューロンではない常在細胞(神経膠細胞と呼ばれる)がIL-12、IL-23や共通するサブユニットIL-12/23p40を放出していること、人為的にADを発症させたマウスの脳ではこれらの濃度が上昇してることを発見した。これらのサイトカインやこれらに共通する受容体のいずれかが欠失したマウスでは、ADに似た症状が軽減される。治療として、病気の初期に、あるいは病気の確定後に、共通するサブユニットIL-12/23p40に特異的なマウス抗体を投与すると症状が緩和し、認知課題において記憶が改善する。
また、AD患者の脳脊髄液中のIL-12/23p40レベルと認識能力の間に相関が認められるというデータからも、今回の知見は臨床的に重要性が高いと考えられる。
doi:10.1038/nm.2965
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