Research Press Release
医学研究:体外受精成功率向上に役立つ研究成果
Nature Communications
2012年12月5日
ヒト胚の発生過程におけるエラーの一因となっている特異的な機構について述べた論文が、今週、掲載される。今回の研究で採用された方法によって胚の生存に有害な結果が生じるという研究報告がないことから、論文著者は、この研究で得られた知見が、体外受精の成功率を高めつつ、染色体異常があり、流産となりやすい胚を誤って移植する機会を減らすために有望な手段となる可能性があると考えている。
画像化技術、分子解析、遺伝学的解析の最近の進歩で、ヒト胚の正常な発生に関与する経路と胚発生停止にかかわる因子の解明が大きく前進した。今回、R R Peraたちは、微速度撮影画像化法を用いて、体外受精クリニックで通常得られる胚を代表する独自のヒト胚群における胚の発生を研究した。その結果、染色体異常のある胚に細胞周期変数のばらつきがあり、それが発生停止の一因となっている可能性があることが判明した。
今回の研究は、既知の細胞周期変数相互間の関係とヒト胚における染色体の組成に関する新たな手がかりをもたらしており、現在の体外受精技術の改良に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms2249
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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