Research Press Release
疫学:マラリアの隠れた原因を追跡調査する
Nature Communications
2012年12月5日
低レベルのマラリア感染症は、疾患の症状が最小限しか現れないが、マラリア感染症の流行拡大において、これまで考えられていた以上に重要な役割を担っている可能性のあることが明らかになった。この研究で得られた知見は、無症候性マラリアのキャリアのスクリーニングを行うことが、マラリアの蔓延を根絶する試みとして重要性を高める可能性があることを示唆している。研究の詳細を報告する論文が、今週、掲載される。
今回、L Okellたちは、単純な血液塗抹試験によるマラリア検出率とそれよりも感度の高い分子技術でなければ検出できないマラリア(いわゆる「超顕微鏡的感染」)の検出率の関係を明らかにした。そして、この情報をマラリア伝播の疫学モデルを組み合わせることで、マラリアの有病率の低い地域では、超顕微鏡的感染が重要な感染原因となっている可能性が高いという計算結果を得た。Okellたちは、顕微鏡ではマラリア感染を検出できなくなった地域でも、マラリア防除プログラムを維持すべきだという考え方を示している。
doi:10.1038/ncomms2241
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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