Research Press Release

医療に関連したClostridium difficileの流行

Nature Genetics

2012年12月10日

C. difficileは、先進国で、感染性の抗生物質関連下痢症と医療関連感染症の最も一般的な原因となっている。C. difficileの感染率と有病率は、過去20年間に上昇し、その主たる原因は、病原性が非常に強いC. difficileクローンであった。

今回、T Lawleyたちは、全世界のC. difficileの流行性クローンの分離株151例を集めた地理的、時間的に多様なコレクションと英国で集めた145例の分離株を対象として、全ゲノム塩基配列解読を行い、その結果を報告している。今回の研究では、C. difficileの流行の出現と拡大を突き止め、C. difficileの流行性クローン027/BI/NAP1に2つの異なる系統が見つかった。これは、1つの系統しかないことを示唆する過去の研究報告と対照的な結果となった。そして、この2つの流行性系統が、それぞれ2000年代前半に北米で出現し、それぞれが独自にフルオロキノロン耐性変異を獲得したことが明らかになった。Lawleyたちは、当時の北米でフルオロキノロン系抗生剤が一般的に用いられていたことが選択圧となり、この2つの系統の出現とC. difficileの流行を引き起こしたと考えている。

doi:10.1038/ng.2478

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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