Research Press Release
【医学研究】背中をサポートする前駆細胞
Nature Communications
2012年12月12日
髄核(椎間板の中心部にあるゼリー状物質)に含まれる前駆細胞のうちの特定の一部が減少することが、老化と椎間板の変性に関連していることを報告する論文が、今週、掲載される。この新知見は、髄核と椎間板を完全に保つ機構に関する新たな手がかりとなっている。
老化過程において、椎間板の機能的能力が変化し、椎間板に含まれる細胞が細胞老化状態に入る。細胞老化とは、哺乳類細胞の寿命を制限し、細胞増殖を妨害する増殖停止プログラムのことだ。今回、東海大学の酒井大輔(さかい・だいすけ)たちは、その原因が前駆細胞の機能不全だとする仮説を立てた。そして、酒井たちは、この仮説が正しいことを確認するために、マウスとヒトの髄核試料を調べて、老化と変性によって減少する前駆細胞のサブセットを同定した。さらに、酒井たちは、ヒト前駆細胞を免疫不全マウスに移植したところ、マウスのさまざまな組織において、細胞の自己複製活性が観察された。
doi:10.1038/ncomms2226
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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