Research Press Release
ヒトでの配偶子形成
Nature Cell Biology
2012年12月17日
ヒト配偶子がどのようにして形成されるのかを明らかにした研究が発表された。この知見は女性の卵巣中に保存されている卵原細胞からの卵母細胞の発生や男性精巣での幹細胞の発生の研究に役立つと考えられ、また将来、配偶子を人工的に形成させる際の指針ともなりそうだ。
不妊症は、生殖可能年齢にあるヒト集団のほぼ10%で見られ、ヒトでの不妊の原因はほとんどの場合不明である。ヒトの生殖可能年齢は一般に15歳から45歳とされるが、ヒト配偶子を生じる細胞はそれよりずっと早い時期に出現する。したがって、生殖について成人期に見られる問題は、胎児期の配偶子前駆細胞に生じた問題が原因なのではないかと考えられてきた。
A Clarkたちは、ヒト配偶子の前駆細胞、つまり卵母細胞と精子を、受精後6から12週の胎児から単離してその形成につながる初期の事象について調べた。これまで、配偶子形成の初期に関して得られている情報のほとんどはマウスを使って得られたものだった。ヒト配偶子前駆細胞を、細胞表面にあるタンパク質のひとつの発現に基づいて単離し、そのDNA、RNAおよびタンパク質の全体的な変化について分析を行うことで、Clarkたちは2つの主要な発生段階があること、だがマウスでこれまで見られていたのはそのうちの1つだけであることを明らかにした。
doi:10.1038/ncb2638
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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