Research Press Release
【動物行動】ママがパパに子の世話を命じる方法
Nature Communications
2013年1月9日
仔マウスの母親が超音波発声を行って、配偶相手の雄に仔の世話をさせることが明らかになった。この新知見は、齧歯類間の社会的相互作用に関する新たな手がかりと言える。この結果を報告する論文が、今週、掲載される。
数多くの哺乳類において、子の世話は母親の責務だと長い間考えられていた。マウス、ラット、ハムスターなどの齧歯類は、一雄一雌制ではないが、雄が、親としての行動を自然にとることはない。これに対して、雄と雌のマウスを実験室条件下で同じケージで飼育したところ、雄と雌のいずれが仔を保護し、温かい心で接する。今回、東田陽博(ひがしだ・はるひろ)たちは、仔マウスを回収する行動を調べることで、父性マウスに親としての行動を誘導するために必要な条件に関する新たな手がかりを得た。今回の研究では、父性マウスを仔から引き離すと、父性マウスが、母性マウスから超音波の合図と匂いの合図を受け取り、のちに仔のところに戻されたときに子の世話を行うことが判明した。
今回の研究は、特定の系統のマウスのみについて実施されたが、東田たちは、他の種を用いた研究を進めることで、こうした行動が種規模のものなのかどうかに関する決定的な証拠が得られることを期待している。
doi:10.1038/ncomms2336
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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