Research Press Release
温暖化の激化とエネルギー消費量の関係
Nature Climate Change
2013年1月28日
北半球の高緯度域で冬季の地表温度がさらに1℃上昇した原因が全世界でのエネルギー消費であったとする研究報告が、今週発表される。この地域で観測された20世紀の地表温度の変化傾向は、これに対応する地球温暖化シミュレーションより高いことが判明したが、今回の研究は、エネルギー消費量を考慮に入れることで、この差の説明に役立てている。
今回、M Caiたちは、エネルギー消費を原因とする熱が気候に及ぼす影響を調べた。この熱は、人為起源の強制力の一つだが、大部分のモデルシミュレーションで考慮されていなかった。ここでは、全球気候モデルにエネルギー消費が組み込まれ、地上気温の応答(冬季におけるロシアと北アジアでの最大1℃の温暖化とカナダの草原地帯での最大0.8℃の温暖化)が、20世紀後半に観測された変化傾向に似ていることが判明した。この点は、過去の研究で明らかになっていなかった。また、Caiたちは、上述したモデルと同じ年代に由来するシミュレーションを用いて、シミュレーションによる変化傾向と実際に観測された変化傾向のちがいを初めて検出した従来の20世紀の解析を再現し、その結果を確認した。
Caiたちは、北米とユーラシアの高緯度域で観測された原因不明の冬季温暖化の一因がエネルギー消費であったとする考え方を示して、今回の論文を結んでいる。
doi:10.1038/nclimate1803
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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