【生物科学】鼻孔は1つより2つのほうがよい
Nature Communications
2013年2月6日
トウブモグラは、近くの匂いと遠くの匂いを特定するために2つの異なる機構を用いることが明らかになった。この新知見は、嗅覚に強く依存する哺乳類における嗅覚情報処理に関する新たな手がかりといえる。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
多くの感覚系では、目標物の位置を正確に特定するために、2つ以上の入力点(例えば、2つの眼)からの刺激が必要とされる。この理論が、嗅覚系にも当てはまるのかどうかについては、かなりの議論が行われてきた。今回、K Cataniaは、盲目のトウブモグラで、この理論を検証した。このモグラを食物でおびき寄せる実験を行って、一方の鼻孔の入力を遮断し、あるいはプラスチック管を使って鼻孔の入力を交差させたのだ。1つの鼻孔を遮断した場合には、モグラは、食物の方向とは関係なく、開いた鼻孔の方向へそれていった。この挙動からは、モグラが、開いた鼻孔に向かって「引っ張られる」ことが示唆されている。ちょっと意外だったのは、鼻孔の入力を交差させた場合にモグラが食物を忌避したことだったが、このときもモグラは最終的には食物の位置を特定した。
Cataniaは、少なくとも視力の弱い動物の場合、嗅覚的手がかりの処理には2つの戦略、つまり、嗅覚的手がかりが遠く離れている場合の戦略と嗅覚的手がかりが近くにあり、その勾配が比較的急なものである場合の戦略が必要だと考えている。そして、聴覚と視覚の場合と同じように、脳内での嗅覚信号の統合が、刺激の位置決定に非常に重要な役割を果たしていると結論づけている。
doi:10.1038/ncomms2444
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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