【物理科学】実験室内で白色矮星を調べる
Nature Communications
2013年2月13日
白色矮星の原子の振る舞いを映し出す革新的なモデルが実験室で作製され、高磁場の白色矮星の表面に存在する水素の解明が進むことが期待されている。この新しい方法は、入手しやすい材料を用いて、天体物理現象のモデルを作製できる可能性を示している。
高い磁場での原子の振る舞いを解明することは、特に白色矮星との関係で、大きな注目を集めている。白色矮星には、地球上に存在する磁場よりはるかに巨大な磁場が存在すると予測されているからだ。こうした磁場の規模に関する予測を行う際には、モデルを作製して、これらの星からの原子スペクトルと比較しなければならない。また、こうした巨大な磁場における原子をめぐる理論は複雑で、現在利用できる磁場を用いて検証することはできない。今回、B Murdinたちは、リンをシリコンにドープして、この問題を回避した。その結果、シリコン中のリンの原子特性と水素の原子特性の間に単純な相似関係のあることがわかった。そして、Murdinたちは、実験室の磁場でのリン原子のスペクトルと白色矮星上の水素について得られたスペクトルを比較した。この2つのスペクトルは一致しており、数十テスラの磁場のリン原子が、数万テスラの磁場の水素原子のように振る舞うことを示すことが判明した。
Murdinたちは、複雑なシミュレーションや取得不能な磁場を用いずに、この固体系によって、高磁場での水素に関する理論を検証でき、実験室内で、白色矮星の原子のモデルに類似するものとして、この固体系を用いることができることを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms2466
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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