Research Press Release

前立腺中の「浸潤性が高い」細胞群

Nature Cell Biology

2013年2月25日

前立腺中の特定のタイプの細胞を起源とする腫瘍は、それ以外の細胞から生じる腫瘍よりも浸潤性が高いことがわかった。この研究から、前立腺の管腔細胞に起源を持つ腫瘍は一般に、患者の予後不良と関連すると考えられる。

M Shenたちは、前立腺がんのマウスモデルを使って、前立腺中の異なるタイプの細胞を起源とする腫瘍は、それぞれ異なる分子シグネチャーをもつようになることを明らかにしている。この分析から、前立腺の管腔細胞から生じた腫瘍は基底細胞から生じたものよりも浸潤性が高いという結果が得られた。基底細胞に由来する腫瘍が腫瘍促進因子の働きによって管腔型腫瘍に似るようになった場合でも、これと同様の結果が見られた。

Shenたちは、マウス前立腺中の細胞について遺伝学的な細胞系譜追跡実験も行い、前立腺の再生や生体組織の恒常性維持の際に、基底細胞が可塑性を示すことを実証した。基底細胞の一部は必要に応じて管腔細胞へと細胞運命を切り替えることが可能らしいので、今回の知見は重要なものになるだろう。

doi:10.1038/ncb2697

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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