Research Press Release
【神経科学】感情と結びつく神経伝達物質
Nature Communications
2013年3月6日
神経伝達物質のヒポクレチンとメラニン凝集ホルモンの濃度が、感情状態と社会的相互作用と異なった状態で結びついていることがわかった。これは、神経伝達物質の濃度とヒトの感情との関連性を初めて直接的に調べた研究の成果である。詳細を報告する論文が、今週掲載される。
メラニン凝集ホルモンとヒポクレチンという神経伝達物質は、睡眠と覚醒状態の維持に関係すると考えられている。しかし、生物種を対象として、睡眠覚醒サイクル全体にわたる神経伝達物質の放出、そして、神経伝達物質と具体的な行動との関係についての測定がなされていないために、それぞれの神経伝達物質の役割は解明されていなかった。今回、J Siegelたちは、この2種の神経伝達物質の濃度をラットの扁桃体と視床下部とヒト被験者の扁桃体で調べ、ヒポクレチンが、幸福感などの肯定的感情と結びついているが、メラニン凝集ホルモンと肯定的感情の結びつきはないことを見いだした。
Siegelたちは、この新知見によって、一部の精神疾患の解明を進むと期待している。
doi:10.1038/ncomms2461
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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