【地球科学】土壌マッピングの手法による中世の地形の謎解き
Scientific Reports
2013年3月21日
高分解能の地球物理学的土壌調査と考古学情報を組み合わせた手法が用いられて、これまで知られていなかった中世ベルギーの湿地帯の干拓が3Dで詳細に再現された。この方法は、最小限の侵襲的研究で足り、現在のヨーロッパの大きな部分を作り上げた過去の土地利用に関する知識を充実させるうえで役立つことが期待される。
過去の環境条件と社会経済的条件の変化に対する人間の対応を調べようとすると、文書情報や考古学情報の少なさに直面することが多い。過去における人間と地形の相互作用の一例が、ヘント、ブリュージュなどの新興都市の需要に対応した11~15世紀のフランドル地方(ベルギー)での湿地帯の干拓と森林の開拓だ。
今回、Philippe De Smedtたちは、電磁誘導(EMI)センサーを用いて、複数の土壌の特性を同時に調べて、これによって中世のフランドル地方の湿地帯の考古学的変化と自然の地形の変化を3Dで再現した。研究対象となった地域には、1578年に軍事的闘争と洪水の連続によって放棄された修道院の跡地も含まれていた。EMIセンサーのデータによって、修道士が周辺地域の開墾に関する指示を出す場所として使っていた人為的に作られた地形が初めて再現され、中世における修道院の大規模な土地干拓戦略に関する新たな手がかりが得られた。この新しい方法は、過去の複雑な地形を調べるためのこれまでよりロバストな方法となる可能性が、今回の研究によって示された。
doi:10.1038/srep01517
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