Research Press Release

剪断力で幹細胞を集める

Nature Methods

2013年4月8日

ヒト多能性幹細胞(hPSC)の付着特性について、およびそれが培地中のほかの細胞からのhPSCの分離にどう利用できるかについての報告が、今週オンライン版に掲載される。

基礎研究および応用研究に有用なhPSCは多くの実験室で研究されているが、その培養は困難である。自発的な分化、初期化の不完全さ、または添加される「フィーダー」細胞の存在のため、培養hPSCはきわめて不安定で不均質であることが知られている。そのため、不均質な培養細胞から特定の細胞を分離する方法は、潜在的有用性を持つ。

今回Andres Garciaたちは、hPSC、hPSC由来の分化細胞、および初期化のドナー細胞として一般に利用されている体細胞に関して、付着特性の体系的な比較を行った。それによれば、hPSCは培地の表面に付着する強度がほかの細胞と異なるという。

そこで研究チームは、流体の流れが制御する剪断力を微小流体装置に応用し、hPSCをほかの細胞から分離した。この方法では、完全に初期化されたhPSCを初期化の不完全な細胞から分離することもできた。剪断力で分離されたhPSCは「幹細胞様の」特性を維持しており、ほかの分離法を上回る生存能力を示した。

研究チームは付着を利用するhPSCの分離法について、細胞の表面標識が必要な分離法を補完する標識不要の簡便な方法になると結論付けている。

doi:10.1038/nmeth.2437

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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