Research Press Release
セルラーゼの共同作業
Nature Chemical Biology
2013年4月8日
セルロースを分解する酵素群は共同的に働かせると効率が高くなることが、高度な画像化法によって明らかにされた。その知見は、バイオマスの新たな分解法とともに、その種の取り扱いが困難な系を研究するための方法論をも提供するものである。
植物の細胞壁を構成するセルロースは、植物体に剛性を与える炭水化物系高分子であり、植物体材料の約3分の1を占めている。また、植物体を燃料などの化学物質に変換する「バイオマス変換」の主要な基質でもある。しかし、この材料の剛性は既存の技術による研究を困難にするものでもあり、セルラーゼ(セルロースを分解する酵素)の理解の妨げになっている。
セルラーゼが働く仕組みの解明を進めるため、Harvey Blanch、Jan Liphardt、Douglas ClarkたちはPALM画像化法を利用し、セルロースに対してセルラーゼ類がどのように作用するのかを調べた。PALM画像化法では、光の波長に満たない分解能で位置が明らかにされるため、既存の顕微鏡法による研究以上に詳細な情報が得られる。酵素ごとの位置を比較し、セルロースのペアによってどれだけセルロースが分解されるかを明らかにすることにより、研究チームは今後の実験および生物工学的応用に最適なセルラーゼの組み合わせ方を発見した。
doi:10.1038/nchembio.1227
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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