【考古学】マヤ暦と西暦の対応関係の精緻化へ一歩前進
Scientific Reports
2013年4月11日
ティカル(グアテマラ)の古典期マヤ文明の遺跡から出土した木製のまぐさ梁について高精度放射性炭素年代測定が行われ、この測定結果が、古代マヤの暦と西暦を正しく対照させるという長い間の問題の解決に役立つ可能性が明らかになった。今回の研究で、紀元7世紀末に起こった出来事の正確な年代決定ができるようになり、気候変動がマヤ文明の発展と終焉に重要な役割を果たしたとする仮説の新たな裏づけとなった。
マヤ文明の盛衰の原因については、いまだに確かな答えが得られていない。ティカルの石碑に刻みこまれた歴史上の出来事の記述は、貴重なデータ源となっているが、それを利用するには、マヤ暦と西暦の相関関係を正確に把握していることが必要だ。今回、Douglas Kennettたちは、加速器質量分析法による放射性炭素年代測定を行って、ティカルで出土した木製のまぐさに残されたマヤ暦の日付を示すしるしの解析を行った。今回の年代測定によれば、この日付が彫り込まれたのは、紀元658~696年とされた。これは、100年以上前に提唱され、今では最も広く受け入れられている相関定数であるグッドマン‐マルティネス‐トンプソン相関の裏づけになった。
これまで、ハサウ・チャン・カウィールがティカルの王に即位したのが紀元682年で、カラクムルに対して決定的な勝利を収めたのが紀元695年だったとする暫定的な年代決定がなされているが、今回の研究で、その確実性が高まった。これに加えて、こうした出来事や他のマヤ文明の都市で記録された出来事をそれぞれの地域の環境、気候、考古学データとの関連で詳細に調べられるようになった、とKennettたちは結論づけている。
doi:10.1038/srep01597
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