Research Press Release
【疾患】磁気標識で結核を検出する
Nature Communications
2013年4月24日
結核菌(Mycobacterium tuberculosis、MTB)を検知できる低コストのポータブル診断システムについて報告する論文が、今週掲載される。この装置は、必要最小限の処理を行った粘液試料によって診断ができ、わずか2時間半で結果が得られる。
結核菌、特にその薬剤耐性菌株に感染した患者を迅速に同定することは、公衆衛生と世界の結核予防にとって重要だ。ところが、こうしたことは、特に資源に制約のある環境で難しい課題となっていることが多い。一般的な診断検査は、複雑な光学系と安定した電力供給が必要とされ、あるいは結果が得られるまでに数週間を要するからだ。今回、Ralph Weisslederの研究チームは、磁気標識された結核菌のDNA断片を核磁気共鳴測定によって検出する検査法を開発した。この診断装置で、患者の粘液試料から結核菌を検出することができ、特異的な一塩基の遺伝的変異をもつ多剤耐性結核菌標本を判別できた。
磁気アッセイは、光学的方法と比べて、干渉が起こりにくいため、DNAを抽出するためには、粘液試料をガラスビーズと混合させるだけ足り、それ以上の精製を行う必要がない。また、この測定装置は、光学系と異なり、小型のポータブル電子マイクロ流体デバイスに容易にパッケージ化でき、それを使って、その後のすべての分析手順を行えるのだ。
doi:10.1038/ncomms2745
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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