近視と緑内障に関連する遺伝的多型
Nature Genetics
2010年9月13日
眼の疾患である近視と緑内障に関連する遺伝的多型について報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
近視は、視覚障害の最も一般的な原因である屈折異常の一種である。緑内障は、慢性変性疾患の1つで、全世界で、回復不可能な失明の主たる原因に数えられている。
G Thorleifssonらは、アイスランドの1,263症例を対象として、原発開放隅角緑内障(POAG)のゲノムワイド関連解析を実施し、ヨーロッパ、オーストラリア、東アジアの集団を対象とした追試で、当初の解析結果を再現したことを報告している。今回の関連解析で、 Thorleifssonらは、2つの候補遺伝子CAV1とCAV2の近くに位置する1つのゲノム領域をPOAGに関連するゲノム領域として同定した。 CAV1とCAV2については、シグナル伝達において役割を担い、成体神経幹細胞の増殖を調節する因子でもあるという考え方が提起されている。
C Klaverらは、オランダの地域住民を対象とした過去の研究でデータが得られた5,328人を対象として、屈折異常のゲノムワイド関連解析を行ったことを報告している。解析の結果、Klaverらは、屈折異常と近視に関連する1つのゲノム領域を同定し、網膜で発現する2つの候補遺伝子を明らかにした。一方、C Hammondらは、英国の4,270人を対象に屈折異常のゲノムワイド関連解析を実施したことを報告している。Hammondらは、屈折異常と近視に関連する1つのゲノム領域を同定したが、この領域には、ニューロンと網膜で高発現する遺伝子が含まれており、この遺伝子は、網膜の機能維持に関与すると考えられている。
doi:10.1038/ng.661
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