Research Press Release
「カオス制御」がロボットの複雑な挙動を生む
Nature Physics
2010年1月18日
昆虫からヒントを得た、カオス制御の利用により環境に素早く対応する「賢い」6本足のロボットは、「ゴキブリのような」さまざまな複雑な動きができる。このような6脚ロボットがNature Physicsで発表された。
動物の動きを模倣することは、でこぼした地面を歩くといった非常に単純なことであっても難しい課題である。しかし、P Manoonpongと M Timmeたちは、単純だが本質的にカオス的なパターンジェネレーターを自律ロボットの制御系に組み込むことによって、複雑な環境をうまく通り抜けられるようにする適応行動が可能になることを示している。このロボットは、11種の基本的な動きを組み合せて行い、動作の自律性が限定されごくわずかの動きしかできない多くの同種のロボットよりも優れている。
研究チームが設計した、1つの簡単な神経回路で、18個のセンサーを用いて18個のモーターを駆動するロボットは、障害物を避け光に反応する能力をもつと同時に、上り坂や下り坂、起伏の多い地形を歩くのに歩き方を素早く変えることができた。また、窮地に陥っていることを知ると、神経回路がカオス的に作動し、自律的に窮地を脱することもできる。このように、この6脚ロボットは、新たな状況に迅速かつ可逆的に適応するが、より長い時間スケールで学習する能力も有する。
doi:10.1038/nphy1508
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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