2型糖尿病のリスクと血糖値に影響する新たな遺伝的多型
Nature Genetics
2010年1月18日
2型糖尿病のリスクと血糖値に関連する高頻度の遺伝的多型が同定されたことを報告する2つの研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。この2つの研究成果により、体内の循環血中グルコース濃度に影響する遺伝的多型が明らかになった。その多くは、2型糖尿病のリスクにも影響している。
糖尿病の患者数は、世界で2億2,000万人を超え、その90%が2型糖尿病にかかっている。2型糖尿病は、臨床的には、絶食時血糖値と経口グルコース負荷2時間後の血糖値が慢性的に高い状態と定義されている。経口グルコース負荷試験は、体内で一定量の糖分を利用する能力を測定するために一般的に用いられる。この試験を行う場合には、通常、グルコースを含む甘い液体を患者に飲ませ、このグルコース入りの液体を飲む前後に患者から血液サンプルをそれぞれ採取する。2型糖尿病にかかると、体内で十分な量のインスリンが産生されず、あるいは体内の細胞がインスリンを利用して血糖値を正しく管理できなくなる。
J Florez をリーダーとするMAGIC(グルコース・インスリン関連形質メタ解析コンソーシアム)の研究者グループは、約50,000人の絶食時血糖値データのメタ解析を行い、その結果を別の76,558人で再現し、絶食時血糖値に影響する9つの遺伝的多型を新たに同定した。また、Florezらは、これらの遺伝的多型のいくつかが2型糖尿病の高リスクと関連することも見いだした。一方、R WatanabeをリーダーとするMAGICの研究者グループは、経口グルコース負荷2時間後の血糖値を調べ、特定の血糖値に影響する3つの遺伝的多型を新たに見いだした。そのうちの1つは、Florezらの研究で2型糖尿病に関連することが判明した遺伝的多型と重複している。
doi:10.1038/ng.520
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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