Research Press Release
ナノスケールの八木・宇田アンテナ
Nature Photonics
2010年3月15日
八木・宇田テレビアンテナは、80年前に日本で発明された古典的なアンテナである。今回、ナノスケールバージョンの八木・宇田アンテナが光波での使用を目的として開発されたことが、15日付のNature Photonics(電子版)で報告される。このナノアンテナを使用すれば、ナノスケール光源(個々の分子や半導体量子ドットなど)からの光の放出、検出の両方の増強が可能になると思われる。これはセンシングや分光をより効率的にさせるだけでなく、量子情報処理用光源の向上にもつながる可能性を秘めている。
世界中の屋根には、昔ながらの八木・宇田アンテナ(数本の金属棒を平行に並べてラジオ波を検波するアンテナ)がみられる。八木・宇田アンテナはそもそも昔はレーダーやラジオ波を検波するために用いられていたが、今日では、テレビの画像情報をごく普通に送信するために使われている。広島大学の角屋豊らのナノアンテナは、5つの金ナノロッドで構成されており、その形状と間隔は波長632ナノメートルの赤色光と相互作用するよう注意深く設計されている。これによりこの波長の光の高度な指向性制御が可能となる。
電波用である元祖八木・宇田アンテナの大成功を考えると、今回のナノスケール八木・宇田アンテナも光領域において多くの応用が期待される。
doi:10.1038/nphoton.2010.34
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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