Research Press Release
筋萎縮性側索硬化症のマウスに治療効果のある抗体
Nature Genetics
2010年3月29日
CD40Lタンパク質を標的とする生物学的治療法が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のマウスに治療効果を示すことが判明し、この研究成果を報告する論文がNature Geneticsに掲載される。この研究は、免疫応答を標的とする治療法がALSの進行を抑える効果を有する可能性を示唆している。
ALSは進行性の神経変性疾患で、脳や脊髄のニューロンが消失し、最終的には麻痺に至る。全世界でのALSの罹患率は、10万人当たり約2人で、ALSの診断を受けた患者は、通常、診断から5年以内に命を落としている。
S Perrinらは、ALSのマウスモデルとして一般的に用いられるSOD1遺伝子の変異したマウスの実験で、CD40Lに対するモノクローナル抗体を投与した。その結果、抗CD40L抗体には、麻痺の発生を遅らせる効果があり、麻痺の最初の兆候が現れてからの寿命が平均40%延びることが明らかになった。
doi:10.1038/ng.557
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化学:アルゴリズムは、ウイスキーの最も強い香りと原産地を嗅ぎ分けることができるCommunications Chemistry
-
天文学:月の年齢はより古いNature
-
気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促すNature
-
天文学:天の川銀河の超大質量ブラックホールの近くに連星系を発見Nature Communications
-
惑星科学:土星の環が若々しい外観を保っている理由Nature Geoscience
-
惑星科学:木星の衛星イオに浅いマグマの海はないNature