Research Press Release

マウスの表情を読み取る

Nature Methods

2010年5月10日

マウスの表情から疼痛を測定する標準化された方法「マウスしかめつらスケール」が、Nature Methods(電子版)に発表される。表情をコード化するこのシステムを利用すれば、疼痛の評価が正確に行われて疼痛研究が進展するとともに、実験用のマウスに不必要な疼痛を与えずに済むようになる。

ヒトは表情で疼痛を表現することから、幼児など、表情以外の方法でコミュニケーションすることができない個人の疼痛評価のために、表情がコード化されて利用されている。マウスで同じことができないか、というのは未解決の問題であった。疼痛研究はげっし類モデルに大きく依存しているが、現時点では圧力および温度刺激に対する逃避反応の測定以外にほとんど手段がなく、慢性疼痛体験のごく一部しかモデル化されていない。

J Mogilたちは、何百匹ものマウスを用い、中等度の疼痛刺激を与え始める前後の顔を分析した。その結果、閉眼、鼻と頬の膨らみ、および耳とひげの形の変化という5種類の顔の特徴が確認された。それは刺激の強度に応じて変化し、疼痛スコアを割り当てることができた。その目標の1つは、不十分な術後鎮痛を目視検査だけで検知することである。

doi:10.1038/nmeth.1455

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度