Research Press Release
重い喘息の原因が判明
Nature Immunology
2010年8月30日
重いアレルギー性喘息がなぜ起きるかの手がかりが明らかになった。
症状の重い喘息の患者ほど、肺の好中球(免疫細胞の一種)の数が多いが、その理由はこれまでわかっていないかった。Marsha Wills-Karpたちは、マウスの系統の中にはほかの系統よりも重症の喘息を発生するが、それには好中球の浸潤が関係することを発見した。喘息が重いほど、好中球の動員と活性化に関係する炎症性分子のインターロイキン17(IL-17)、23(IL-23)の発現量が多いことがわかった。
また、IL-17とIL-23の系統による違いは、意外なことに、古典的な抗菌経路である補体系によるものであることもわかった。補体の活性化にはプロテアーゼの活性化を伴い、これが警告分子であるC3a、つぎにC5aの放出を引き起こし、他の免疫応答の引き金となる。Wills-Karpたちは、C3aとC5aによる相互調節がこの2つのインターロイキンの生産に影響すること、C3aが喘息を重症化させ、C5aはそれを防ぐことを発見した。
この研究から、好中球が主にかかわるタイプの喘息を軽症化するための、新しい方向からの治療法が示唆される。
doi:10.1038/ni.1926
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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