Research Press Release

上咽頭がんに対する遺伝的感受性

Nature Genetics

2010年5月31日

上咽頭がん(NPC)に関連する遺伝的多型を同定したことを報告する論文が、Nature Geneticsに掲載される。上咽頭がんとは、のどの最上部に発生するがんで、その罹患率は民族的要因と地理的要因によって大きく影響される。罹患率の最も高い地域は東アジアとアフリカである。

Y-X Zengらは、中国南部の5,090人の上咽頭がん患者と4,957人の健常者対照群を対象としたゲノムワイド関連解析を行った。その結果、上咽頭がん感受性に関連する3つの遺伝領域を同定し、上咽頭がんの発症機序においてTGFベータシグナル伝達経路とJNKシグナル伝達経路が役割を果たしている可能性を明らかにした。また、Zengらは、白血病の発症に関係する高頻度な遺伝的因子も指摘し、上咽頭がんと白血病の進行において何らかの共通の機構が存在している可能性があるという見方を示している。この仮説は、上咽頭がん患者における悪性血液疾患の罹患率が高いことによっても裏付けられている。

doi:10.1038/ng.601

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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