【生物工学】生体組織の成形
Nature Communications
2013年5月15日
複数のタイプの細胞を配置して、三次元(3D)の生体組織に似た構造体を作り出すための単純な手法が開発された。この方法では、ヒドロゲルの鋳型が用いられ、高度な実験器材を必要とせず、幹細胞のような「脆弱な」細胞にも使える。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
工学的方法によって作製された生体組織は、再生治療に有用となる可能性があるが、その三次元構造を制御することが難しい。しかし、三次元構造の制御は、生体組織の機能を維持するうえで非常に重要である。今回、Sangeeta Bhatiaの研究チームは、パターンをつけた表面をヒドロゲルで覆って、その上で細胞を成長させた。そして、ヒドロゲルを除去すると、第1の細胞集団の構造的特徴を正確に模倣している凸版が得られた。次に、この凸版上で第2の細胞層を成長させて、第1の細胞層と組み合わせることで、複数の微細パターンを有する細胞区画を含む三次元ヒドロゲルが得られた。この方法は、「Intaglio-Void/Embed-Relief Topographic(凹版空隙/包埋凸版トポグラフィック(InVERT)成形法」と呼ばれ、Bhatiaたちは、この方法を用いて、幹細胞由来の肝細胞の機能が周囲の細胞との近接性によってどのような影響を受けるのかを調べた。さらに、Bhatiaたちは、これらの組織をマウスに移植し、その基本的機能が数週間にわたって維持されたことを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms2853
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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