Research Press Release
【進化】歴史上切っても切れないヒトとイヌの関係
Nature Communications
2013年5月15日
イヌが家畜化されたのは、これまで考えられていたよりもかなり早い時期であり、もしかすると最初はヒトと一緒に食料をあさっていたことがきっかけだったのかもしれない。この長期にわたる共通の歴史によって、ヒトとイヌは、過去32,000年間にわたって平行進化してきたことを明らかにした論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
今回、Ya-Ping Zhangたちは、タイリクオオカミ、中国の土着のイヌとさまざまな品種の飼いイヌについて、全ゲノム塩基配列解読を行った。オオカミは、イヌの祖先として知られているが、中国南部の土着のイヌは、最も原始的な形態のイヌである可能性が高く、家畜化の第1段階の産物である可能性がある。Zhangたちは、オオカミから中国の土着のイヌ、そして、イヌ品種に向かって多様性が低下していく一般的な傾向を見いだし、家畜化の際に強い正の選択を受けた311種の遺伝子を同定した。これらの遺伝子は、家畜化の開始時から現在までイヌのゲノム中に残っており、特有の進化的優位性を持っている。意外なことに、正の選択を受けたイヌの遺伝子のリストは、ヒトの進化の過程で選択されてきて、消化、代謝、神経学的過程とがんに関係する遺伝子と広範囲に重複している。
以上の結果は、イヌの家畜化の過程で正の選択を受けた遺伝子が、ヒトにおける相同遺伝子と広範囲に類似していることを示す証拠となっている。
doi:10.1038/ncomms2814
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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