Research Press Release

再プログラム化の順番

Nature Cell Biology

2013年5月27日

細胞を再プログラム化して、胚の細胞のような多能性状態に戻すことが知られている複数のタンパク質を、細胞に順番に導入してやると、これらのタンパク質を現在行われているように同時に導入した場合よりも、再プログラム化される細胞の数が多くなることがわかった。この知見は、体細胞を再プログラム化して誘導多能性幹細胞にする過程をさらに最適化するための手法につながる。

体細胞を再プログラム化して誘導多能性幹細胞にする際の効率の改善は、再プログラム化細胞を使って、いろいろな疾患に特徴的な異常が細胞ではどのように現れるかを調べたり、薬剤がこのような異常に治療効果を持つ可能性を調べたりするのに、非常に役立つ。D Peiたちは、再プログラム化に必要な複数のタンパク質を逐次的に導入すると、同時に導入した場合よりも、よい結果が得られることを報告している。こうした効率上昇はマウスとヒトの分化した細胞の両方で認められた。また、再プログラム化因子を逐次的に発現させると、細胞が上皮細胞状態から最終的に多能性となる前に、一時的に間葉系細胞の性質を持つのが促進されることがわかった。

doi:10.1038/ncb2765

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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