Research Press Release
【がん】進行した前立腺がんを狙い撃ちする低分子
Nature Communications
2013年5月29日
アンドロゲン受容体のシグナル伝達を阻害する低分子を利用して前立腺がん治療薬を開発するという可能性が浮上した。アンドロゲン受容体シグナル伝達は、前立腺がんの進行を促進する重要な役割を果たすことから、この経路を遮断する薬物が、治療薬候補として注目を集めている。現在のところ、この低分子は、マウスの前立腺がんモデルで腫瘍の増殖を阻害することが明らかになっているが、この薬物を人間の患者に投与した場合の安全性と有効性は検証されていない。
前立腺がんは、男性ホルモン(アンドロゲン)の濃度を低下させる治療法に対して、最初は感受性を示す傾向がある。しかし、前立腺がんの後期には、アンドロゲン受容体シグナル伝達が持続的に活性化され、がんがアンドロゲンに依存しなくなるため、治療が難しくなる。今回、Ganesh Rajたちは、前立腺がん細胞核に侵入して遺伝子発現を活性化させるというアンドロゲン受容体の能力を低下させて、このシグナル伝達過程の特異的なターゲティングを行う分子を設計した。この分子によるターゲティングで、前立腺がん細胞からは、持続的増殖に必要なシグナルが失われる。
doi:10.1038/ncomms2912
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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