嚢胞性線維症の個別化検査
Nature Medicine
2013年6月3日
その機能異常が嚢胞性線維症の原因となる受容体であるCFTRの機能を、定量的に測定する分析テストが開発された。この迅速で確実なテストは、嚢胞性線維症患者由来の「オルガノイド」を利用することによって、診断が容易に行え、薬剤応答を評価して個々人に合わせて治療を最適化できる。
薬剤のCFTR機能回復効果を調べて選別し、それらの薬剤に対する患者の応答を調べる手段は、ほとんど存在しない。また、同一の変異をもつ患者でも治療効果は一定せず、患者にとっても医師にとっても難しい問題となっている。
Jeffrey Beekmanたちは、腸管幹細胞オルガノイドをつくる技術を応用して、さまざまなCFTR遺伝子変異をもつ嚢胞性線維症患者たちから、組織を成長させた。フォルスコリントよばれる化合物を使うと、オルガノイドを肥大させることができたが、CFTR変異をもつ患者では、この肥大が抑えられたり、起こらなかったりする。オルガノイドにCFTR機能を上昇させる薬剤を投与すると、肥大が再び起こるようになり、その定量によって、個人レベルで受容体機能の回復程度を評価できる。
Beekmanたちは、この迅速な試験管内テストによって臨床表現型の異なる嚢胞性線維症患者たちから膨大な量の細胞データを簡単に得ることができると考えている。また、まったく同じCFTR変異をもつ患者であっても薬剤応答はさまざまに異なるが、このテストは、個々の患者の薬剤応答を推測するのにも役立つ可能性があるという。
doi:10.1038/nm.3201
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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