マガモが鳥インフルエンザの保有宿主であることを示す証拠
Nature Genetics
2013年6月10日
水鳥類の一種であるマガモのゲノム塩基配列が解読された。この研究では、鳥インフルエンザ感染に対するマガモの応答に影響する可能性のある遺伝的要因が同定されており、今後、マガモの鳥インフルエンザに対する高い防御能力の機構を解明するための研究が促進されると考えられる。
最近出現した鳥インフルエンザ(サブタイプH5N1)は、家禽類における広範なインフルエンザの流行の一因となり、マガモは、インフルエンザの感染拡大に保有宿主種として関係していると考えられてきた。マガモは、A型インフルエンザウイルス(H5N1を含む)の自然宿主であり、インフルエンザに感染しても多くの場合に症状のない状態が続くことが知られている。
今回、Ning Liたちは、北京に生息する雌のマガモのゲノム全体について塩基配列解読を行った。そして、マガモのゲノム塩基配列を他の鳥類と哺乳類を比較したところ、マガモが保有する免疫関連遺伝子の数が哺乳類よりも少なく、ニワトリとキンカチョウのゲノムでの観察結果と同じであることが判明した。次に、Liたちは、高病原性と低病原性の鳥インフルエンザH5N1ウイルスに感染したマガモの肺における遺伝子発現を比較することによって、鳥インフルエンザウイルスに応答して発現パターンが変化する遺伝子を同定した。また、鳥インフルエンザ感染に対するマガモの宿主免疫応答に関係すると考えられる要因、例えば、鳥類と哺乳類のβデフェンシン遺伝子ファミリーも同定した。
doi:10.1038/ng.2657
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