【行動】社会的相互作用において「右利き」になるミツバチ
Scientific Reports
2013年6月27日
ミツバチは、右の触角を使って、状況に適するように社会的相互作用を制御しているという考え方を示す論文が、Scientific Reportsに掲載される。
ミツバチは、脳の大きさが比較的小さいわりに意外なほど高次の認知機能を発揮でき、例えば、ヒトの顔を認識したり、複雑な問題を解決したりする。それよりも大きな哺乳類の脳では、領域的特殊化によって複雑な問題の解決が行われている。また、哺乳類の脳内と行動における方向性の偏りと社会性とが結びついているとする考え方が提唱されている。
今回、Lesley RogersとGiorgio Vallortigaraは、共同研究者Elisa RigosiとElisa Frasnelliとともに、ミツバチの社会的行動が触角の使用における方向性の偏りと関連しているのかどうかを調べた。その結果、右の触角しか使わないミツバチ(RAミツバチ)は、左の触角しか使わないミツバチ(LAミツバチ)よりも素早く相互に接触でき、正の相互作用(例えば、吻を伸ばすしぐさ)を行う可能性が高いが、LAミツバチは、攻撃的な「C応答」、例えば、自分の針や大顎を他のハチ(同じ巣に住むハチを含む)に向けることによって、負の相互作用を行う可能性が高いことがわかった。また、RAミツバチは、LAミツバチよりも、巣の異なるハチに対して攻撃的な「C応答」を頻繁に行う傾向を示した。
この新知見は、ミツバチの右の触角が、状況に適した社会的行動(例えば、同じコロニー出身の働きバチとの情報交換や異なるコロニー出身のハチに対する攻撃的応答の制御など)を制御している可能性を示唆している。こうした触角機能の非対称性が、このほかのミツバチの社会的行動の形態(例えば、尻振りダンスを介したコミュニケーション)にも役立っているのかどうかを解明するには、さらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/srep02045
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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