Research Press Release
【生物物理学】静電気を帯びたハエを引き寄せるクモの巣
Scientific Reports
2013年7月4日
静電気を帯びた昆虫と水滴によって、クモの巣の糸が急速に変形し、獲物を捕獲する能力が高まる可能性が明らかになった。
クモの巣は、空中に仕込まれた罠であり、さまざまな大きさの飛翔昆虫を捕らえることに特化している。昆虫が、帯電した表面上を歩き回ったり、荷電粒子の中を飛び回ったりすると、簡単に静電気を帯びる。しかし、クモの巣に対する電荷の影響は解明されていなかった。
今回、Victor Manuel Ortega-JimenezとRobert Dudleyは、正に帯電した昆虫(ミツバチ、ショウジョウバエなど)と水滴をニワオニグモの巣に落として、それによる巣の変位を測定することで、クモの巣の変形応答を評価した。その結果、正に帯電した昆虫と水滴によって、らせん状のクモの巣の糸が、最大2ミリメートル変形したが、比較的中性に帯電した昆虫と水滴を同じ高さから落下させた場合には、そのような変形が生じなかった。
この新知見は、自由飛翔する昆虫の静電荷が、クモの巣に捕まるリスクに影響を与えている可能性を示唆するものだが、電荷、クモの巣の変形と昆虫の捕獲の関係についてのさらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/srep02108
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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