Research Press Release
【生物学】体熱産生の進化上の起源
Nature Communications
2013年7月17日
大部分の哺乳類において、体温調節能力は、仔を保護し、幼若体の死亡率を減らすための機構として進化してきたという見解を示す論文が、今週掲載される。
体温を安定した状態に維持する能力は、哺乳類が、寒冷な気候を活用するうえで役立った可能性が非常に高い。ヒトを含む大部分の哺乳類は、震えることで体熱を産生するが、褐色脂肪によって、震えを伴わずに体熱を産生することもできる。
Martin Jastrochたちは、震えを伴わない熱産生の起源と進化上の役割について解明を進めるため、マダガスカルに生息するヒメハリテンレックを調べた。この動物は、短時間しか体温を一定レベルに維持できない。今回、ヒメハリテンレックにおける褐色脂肪の分布が判明し、非震え熱産生が特に妊娠期間中に重要である可能性が示唆されている。Jastrochたちは、進化の過程を通じて、非震え熱産生が仔育ての第1段階のために選択され、非震え熱産生の存在が、その後、哺乳類種の寒冷気候への放散を促進したと考えている。
doi:10.1038/ncomms3140
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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