【行動】捕食者に出会うと大きくなるスズメダイ稚魚の偽眼模様
Scientific Reports
2013年7月25日
ニセネッタイスズメダイ(Pomancentrus amboinensis)の稚魚は、捕食者にさらされると、偽眼模様が大きくなり、それに対応して眼の成長が抑制されることがわかった。今回の研究は、偽眼模様の大きさが可塑的に変化する可能性があり、特定の環境条件に適するように進化しうることを示唆している。この結果を報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。
多くの魚類と陸生昆虫類には、偽眼模様がある。偽眼模様とは、淡色の輪に取り囲まれた大きな暗色の円形斑で、脊椎動物の眼の外観を模倣している。ニセネッタイスズメダイは、グレートバリアリーフに生息しているが、そこでは、捕食者の餌食になりやすい傾向がある。ニセネッタイスズメダイの稚魚は、淡色の胴体を持ち、尾びれ上部にある偽眼模様が目立っている。ただし、この偽眼模様は、成熟するにつれて薄れていく。今回、Oona Lonnstedtたちは、捕食者にさらされると、この偽眼模様が大きくなることがあり、この変化に伴って眼の成長が抑制されることを明らかにした。そして、捕食者にさらされたニセネッタイスズメダイは、草食魚類にさらされた場合や他の魚類から隔離された場合よりも生存率が高いという観察結果も得られた。
今回の研究は、偽眼模様が、捕食者の存在に対する短期的適応である可能性があり、捕食者の攻撃対象を誤らせ、その致命的な攻撃から頭部を守る機能を果たしている可能性があることを示唆している。この結果は、被食者の幼若期における捕食者との遭遇経験が、生存にとって重要なことを暗示している。
doi:10.1038/srep02259
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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