Research Press Release

【肥満】睡眠不足になると高カロリー食品が欲しくなる

Nature Communications

2013年8月7日

断眠によって脳の活動に変化が生じ、その変化が、高カロリー食品に対する欲求と関連していることが判明した。この新知見は、睡眠不足と肥満の結びつきを裏づける疫学的証拠について新たな見解をもたらすものといえる。

先進工業国で肥満が急速に増えていることは、同じ集団において睡眠時間が減少し続けていることと不確かながらも相関関係が認められている。断眠が食欲を増進すると一般的に考えられているが、この作用を説明する機構については、十分な解明がなされていない。今回、Matthew Walkerたちは、断眠した被験者に対して、カロリー価の異なるさまざまな食品の画像を見せ、その際に脳画像化技術を用いて、被験者の応答を調べた。その結果、断眠した被験者の方が、食べることへの意欲に関連する脳領域の活動が活発になり、食物刺激を評価する脳領域の活動が低下し、その結果として、高カロリー食品に対する欲求が高まった。

これらの脳領域に断眠が影響を及ぼす理由の解明は今後の研究にまたなければならないが、Walkerたちは、今回の研究で得られた知見が公衆衛生政策の向上に役立つことを期待している。

doi:10.1038/ncomms3259

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度