【栄養】砂糖摂取量の「安全」レベルに対する異論
Nature Communications
2013年8月14日
マウスが比較的に少量の砂糖を摂取した場合でも競争力と繁殖力が低下することがわかった。この新知見は、一般に「安全」と考えられ、重大な代謝障害を引き起こさない低レベルでの砂糖摂取が、哺乳類に負の健康影響を引き起こす可能性があることを示唆している。
砂糖の健康に対する悪影響を調べる動物実験では、通常、ヒトの摂取量を大きく上回るレベルでの砂糖の摂取が行われている。今回、Wayne Potts、James Ruffたちは、マウスに健康な食餌と比較的少量の添加砂糖を与えて実験を行った。Potts、Ruffたちによれば、この砂糖の量は、ヒトが1日に摂取する健康な食事と炭酸飲料3缶(各354 ml)に含まれる砂糖にほぼ匹敵し、現在、米国人の13~25%が摂取する量だとされる。このマウスは、軽度の代謝障害を示したが、その後、半自然状態のケージに入れ、通常の食餌を与えたマウスと縄張り、資源と交尾相手の競争をさせた。ただし、実験用マウスの一般的系統は自然な縄張り行動を起こさないので、Potts、Ruffたちは、野生のハツカネズミで研究を行った。その結果、砂糖分の多い食餌を与えた雄のハツカネズミは、支配できた縄張りが26%少なく、仔の生産数も25%少なかった。一方、雌のハツカネズミは、全死亡率が倍増した。
今回の研究では、哺乳類の健康に悪影響を及ぼす砂糖摂取量の最低レベルが記録された。ただし、Potts、Ruffたちは、今回観察された適応度と死亡率の変化の原因となる機構を説明するには、さらなる研究が必要な点に注意すべきことを指摘している。
doi:10.1038/ncomms3245
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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