【化石】初期人類の存在を示す新たな証拠が中国北部で得られた
Scientific Reports
2013年8月15日
このほど、中国北部の泥河湾盆地にある遺跡の年代決定が古地磁気層序法によって行われ、その結果、この地域では、早くも170万年前の更新世初期に初期人類が暮らしていた可能性のあることが示された。今回の研究は、泥河湾盆地の旧石器時代遺跡の年代配列の確定にさらに一歩近づくものであり、東アジアの北半球高緯度域への初期人類の移住の解明にも役立つ。
泥河湾盆地は、北京から西に約150キロメートル離れた山岳地帯に位置している。そこには、更新世初期の60か所以上の旧石器時代遺跡が集まっており、オルドヴァイ式石器に似た石器(石核から荒っぽく削り落とされた単純な薄片)が数千点出土しているが、これらの遺跡の正確な年代はわかっていなかった。今回、Hong Aoたちは、泥河湾盆地の上砂嘴(Shangshazui)遺跡の高分解能古地磁気層序法による年代決定を実施し、その結果を報告している。上砂嘴遺跡では、1972年の発見以来、哺乳類の骨の断片とともにオルドヴァイ式石器に似た石器が出土している。
今回の研究で得られた知見では、上砂嘴遺跡の年代が、これまで考えられていたよりもかなり古く、約170~160万年前である可能性が示されており、これは、ホモ・エレクトゥス化石が出土した中国南部の元謀(Yuanmou)遺跡よりわずかだけ新しい。この結果は、今から170~160万年前に初期人類が中国の広い範囲で暮らしていた可能性を示唆している。
今回は、付随して出土した動物化石の解析も行われ、更新世初期の初期人類が暮らしていた頃の上砂嘴地域は、主に草原で、森林が点在していたことが示唆されている。この初期人類が主に引きつけられたのは、水とさまざまな食料源が得られる山間の湖だった可能性が非常に高い。また、山は、石器の原料を得られる貴重な場所だった可能性もある。
doi:10.1038/srep02403
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