Research Press Release
海洋は住みにくくなる
Nature Climate Change
2013年8月26日
多様な海洋動物分類群の二酸化炭素濃度に対する感受性を評価する研究が行われ、海洋の酸性化により、今世紀中に海洋生態系が大きく変化する可能性のあることが判明した。この新知見は、海洋生態系とそれに依存する人々に関する懸念材料となっている。
海洋の酸性化は、一部の海洋生物に影響を及ぼすことが知られているが、生態系に対する脅威の重大性については、ほとんど解明されていない。この論点に取り組むため、Astrid WittmannとHans-O. Portnerは、5つの動物分類群(サンゴ、棘皮類、軟体類、甲殻類、魚類)の広範な二酸化炭素濃度に対する感受性を評価した。
その結果、研究対象となった動物分類群のすべてが、中程度の海洋酸性化によって悪影響を受けることが明らかになったが、その内容と程度には差があった。無脊椎動物の中では、サンゴ、棘皮類、軟体類に対する悪影響が最も深刻だったが、甲殻類は抵抗力が比較的強かった。一方、魚類の応答は、これほど明確なものではなかった。WittmannとPortnerは、将来的には、こうした応答の多様性が生態系に大きな変化をもたらす可能性があると結論づけている。
doi:10.1038/nclimate1982
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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