Research Press Release

海洋の酸性化による気候温暖化の促進

Nature Climate Change

2013年8月26日

海洋が酸性化すると、生物起源の硫黄化合物の生産量が減少し、気候温暖化が増幅される可能性のあることが明らかになった。海水のpH値が低下すると、ジメチルスルフィドの濃度が低下することがわかったのだ。大気中の硫黄は、入射太陽光に対する大気の反射率を上昇させて、地表の温度が低下させる。その最大の天然の発生源は、海洋からの放出だ。

今回、Katharina Sixたちは、海水のpH値の変化と海水中のジメチルスルフィドの濃度に関する知識を用いて、さまざまな気候シナリオ下での将来的な海洋からの生物起源の硫黄放出量を推定し、その量が2100年に約18%減少すると、0.23~0.48℃の温暖化に相当する放射強制力の著しい増加が生じると予測している。

今回の研究では、人間活動による二酸化炭素排出量を削減することが、海洋酸性化が海洋生物に及ぼす悪影響を抑えるためだけでなく、生物起源の硫黄生産量の変化による気候温暖化の増幅を回避するためにも必要なことが強調されている。

doi:10.1038/nclimate1981

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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