結核菌ゲノムと薬物耐性
Nature Genetics
2013年9月2日
世界のさまざまな地域に由来する結核菌株の全ゲノム塩基配列解読が、4つの独立した研究で行われ、結核の流行における薬剤耐性の出現に関する新たな知見が得られ、薬剤耐性試験と新薬開発の標的とすべきものも示唆されている。その詳細を報告する4編の論文が、今週オンライン版に掲載される。
Maha Farhatたちは、結核菌の主要な6つの系統と一連の薬剤耐性表現型が含まれる結核菌株の全世界コレクションに由来する123菌株について、全ゲノム塩基配列解読と解析を行った。そして、Farhatたちは、菌株間の進化的類縁関係を利用して微生物ゲノムにおける耐性マーカーの探索を行うための新しい方法を開発し、結核菌ゲノム中で39の薬剤耐性領域候補を新たに同定した。一方、Lijun Biたちは、中国の結核菌株161種の全ゲノム塩基配列解読を行い、薬剤耐性に関連する領域候補のリストを作成した。
David Allandたちは、in vitroで第一選択抗結核薬エタンブトールを投与した結核菌株のゲノム塩基配列解読を行い、その後、63点の臨床分離株を使って、解読結果の妥当性を示した。Allandたちの機能研究は、エタンブトールに対する耐性獲得に関する多段階モデル(いくつかの遺伝子変異間の相互作用を含む)の妥当性を裏づけている。
Inaki Comasたちは、結核菌群(MTBC)の259菌株のゲノム塩基配列を解析し、結核菌とヒト宿主の遺伝的多様性と進化に関する新たな知見をもたらした。Comasたちの解析結果は、MTBCが約7万年前にアフリカで出現し、アフリカからの人類の移動に伴って伝播したことを示すモデルを裏付けている。
doi:10.1038/ng.2744
doi:10.1038/ng.2747
doi:10.1038/ng.2735
doi:10.1038/ng.2743
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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