【医学研究】脱神経処置による重症高血圧症の治療
Nature Communications
2013年9月4日
ラットの血圧を降下させる介入方法に関する機構的知見がもたらされた。頸動脈小体への神経支配を除去することで、交感神経系の活動が低下して、血圧降下が達成されることが明らかになったのだ。この方法は、さらなる検証を経ることで、薬剤耐性高血圧症の患者の治療に使用できる可能性がある。
腎脱神経処置とは、腎動脈の神経を切断して神経系の活動を抑制することを目的とした介入法のことで、現在、治療抵抗性高血圧症の患者で実施されているが、成功例の数は限られている。今回、Julian Patonたちは、これとは別の方法として、頸動脈小体に接続する神経の切断を介した方法(「頸動脈小体脱神経処置」として知られる)の臨床への橋渡し可能性を実証した。頸動脈小体は、頸部の頸動脈分岐部付近にあり、血液中の酸素濃度を絶えず検知し、交感神経系(自律神経系の一部で、一般に闘争‐逃避反応と関連付けられている)を活性化させることで血圧を調節している。Patonたちは、高血圧ラットを用いた実験で、この部位の神経を切断すると、交感神経系の活動が比較的急速かつ長期的に低下し、血圧が低下することを明らかにした。特に重要なのは、この処置を腎脱神経処置に追加して実施した場合でも有効性が持続した点だ。
これに関連した臨床試験が薬剤耐性高血圧症の患者を対象として実施されているところで、この新しい方法の有効性と安全性、実現可能性を明確にすることが目的となっている。
doi:10.1038/ncomms3395
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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