Research Press Release
【生態】森林は斜面の上方へ逃げ場を求める
Nature Communications
2013年9月25日
人間の活動によって、森林地域が平坦地から丘陵や山の斜面の上方へ追いやられていることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、平坦地の森林が、斜面の森林よりも森林伐採に対して脆弱であり、その危険は、経済が成長しつつある国々で、さらに大きいことが示唆されている。
人間の活動は、例えば、森林から他の土地利用(農地や市街地)への広範な転換を通じて、地形を大幅に変化させることが知られている。今回、Brody SandelとJens-Christian Svenningは、人工衛星からの高分解能データを用いて、2000~2005年の全球的森林伐採速度を見積り、森林被覆を予測しうる気候変数の候補を探索した。そして、森林被覆の地形的分布と人間活動の影響を同じスケールで調べ、その結果、人間活動による圧力と森林の分布との間に密接な関係があることが判明した。SandelとSvenningは、人間活動の圧力によって、森林被覆が斜面地に限局されるという全球的傾向が生じ、森林伐採が平坦地域で最も顕著なことも明らかにした。
このように、現状では、斜面が森林にとっての避難先であることが判明したが、この傾向は、人口増加率が低く、経済成長率が高く、有能な政府が存在する先進国で特に妥当する。
doi:10.1038/ncomms3474
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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