【地球科学】ベネチアの水没を再検討する
Scientific Reports
2013年9月26日
人工衛星によるベネチア(イタリア)の歴史的中心市街地の高分解能観測をもとにして、過去20年間のベネチア市内での土地の変位に対する自然の地盤沈下と人間活動の相対的寄与度が推定された。この結果を報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。
今回、Luigi Tosi、Pietro TeatiniとTazio Strozziは、ベネチアにおける自然の地盤沈下と人間活動による土地の変位とを峻別する研究を考案した。(過去の地盤沈下に寄与した)地下水のくみ上げの影響は、数十年前に消滅したが、最近の海水準の変動によってベネチアの脆弱性が増しているため、その中心市街地に影響を及ぼす地盤沈下に関する信頼性の高い詳細な知識は、今でも非常に重要だ。Tosiたちは、個々の建物のわずかな変化でも検出できる2種類の人工衛星による高分解能観測を用いて、ベネチアの中心市街地の長期的、短期的変位を調べた。
その結果、ベネチアでの自然の地盤沈下が年間約0.8~1ミリメートルの速さで起こっていることがわかり、土地の変位に対する人間活動の寄与に関しては、年間約2~10ミリメートルの速さだが、非常に局所的な規模で、短い時間スケールで起こっていることが明らかになった。Tosiたちは、こうした人間活動による変位の主たる原因として、建物遺産を保存するための保全過程と復元過程、そして、運河の壁面の安定化などベネチアでの維持管理作業を挙げている。
doi:10.1038/srep02710
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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