Research Press Release
【再生医療】置換用の分泌腺を培養する
Nature Communications
2013年10月2日
2種類の分泌腺(唾液腺と涙腺)を作製し、マウスへの移植にも成功したことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、生物工学的に作製された臓器による置換再生医療が、将来的には、唾液腺と涙腺の機能不全を回復させるための実現可能な方法となる可能性を示唆している。
唾液腺と涙腺の機能不全は、さまざまな疾患と関連しており、生活の質を低下させ、新たな健康問題を引き起こすことがある。今回、辻孝(つじ・たかし)たちは、胚発生過程での細胞相互作用を模倣する方法によって、唾液腺と涙腺の前駆体(器官原基)を人為的に作製し、それをマウスに移植して、器官原基が移植先の神経系、そして、唾液管や涙管ともうまく接続することを明らかにした。この生物工学的に作製された唾液腺や涙腺は、さまざまな化学的刺激に応答して唾液や涙を分泌し、正常な口腔環境と眼環境を回復させた。
今回の研究では、マウスの健常な唾液腺と涙腺を切除したうえで、新たに作製された唾液腺と涙腺の移植を行ったわけだが、この方法で、機能不全になっている唾液腺や涙腺の置換にも成功するのかどうかは、今後の研究を待たなければならない。
doi:10.1038/ncomms3497
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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