【気候】新石器時代の人口の増減
Nature Communications
2013年10月2日
ヨーロッパでは、農業が導入された後、人口増加という一般的傾向があったにもかかわらず、地域的な人口の激減も起こっていたという研究結果が明らかになった。この研究では、こうした人口激減の原因が、これまで考えられていた極端な気候状態ではなかったことが示唆されている。
農業がエーゲ海地方に導入されたのは、今から約8,500年前のことで、その後、ヨーロッパ中で着実に広がり、約7,800年前にフランスに達し、約6,000年前に英国、アイルランドと北ヨーロッパに到達した。いずれの場合も農業の導入によって、食料の生産と消費のパターンが大きく変化し、その結果、人口が急増した。今回、Stephen Shennan、Sean Downeyたちは、ヨーロッパの新石器集団の放射性炭素データを示し、人口密度の経時的変化を正確に決定した。その結果、研究対象となったヨーロッパ内の12地域(南フランス、スコットランド、デンマークなど)すべてで、人口の急激な変動があったことが判明した。農業導入後最も多かった時期と比べて30~60%の人口減少となった場合もあり、その減少規模は、それからかなり後の黒死病(ペスト)流行時の減少規模と等しかった。中世の人口が新石器時代の人口をかなり上回っていたにもかかわらずである。
また、今回の研究では、こうした人口の変動が気候的要因と関連していないことがわかった。この人口減少の正確な理由は、いまだに明らかになっていない。
doi:10.1038/ncomms3486
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